火照るのに冷え性って?!2024/3/16更新
冷えと火照りがつらいお客様
冷え性のご相談を承っていると、さまざまな冷えの状態を伺います。
そのひとつが、「冷え性なんだけど火照りを感じる?」という症状。
冷えがとても辛いのに、「顔がほてって困る」「手がほてって気持ち悪い」「足がほてって眠れない」
「暖かい部屋に入ると急に顔が熱くなる」などでお悩みの方がいらっしゃいます。
「汗かきなのに冷える」という方も多く、
このような冷えと火照りの症状は、更年期以降の女性に多くみられます。
冷え性は、大抵手足の冷えから始まりますが、年月とともに症状が変わり、冷えと共に火照りを生じるようになることが多いのです。
若い人に多い「手足の冷え」
冷え性の中で最も多い手足の冷えは、若い人に多くみられます。手足に冷えを感じている方には、身体の末端である手足だけ冷えている場合と身体の深部まで冷えている場合があり、手足だけの冷えであれば、身体が熱を外へ逃がさないようにするための反応で、健康上はあまり問題ありません。
冷えが進行すると、身体の深部も冷えてくる
しかし冷えが進行すると身体の深部まで冷えるようになり、内臓機能も影響を受けるようになります。身体が疲れやすくなったり、元気がなくなったり、胃弱や便秘 下痢、頻尿、膀胱炎、生理痛や生理不順、婦人科疾患にも罹りやすくなります。
「冷え性」は年月とともに冷えを感じなくなることも
ところで冷え性は年月が経つと、冷えを感じなくなる傾向があります。冷え性が治ったように錯覚しやすいのですが、神経が冷えに慣れて冷えを感じなくなっている状態で、冷え性が治ったわけではありません。冷えと巡りが低下した状態で更年期を迎え、そこで強い冷えと火照り、そして、さまざまな体調不良が表れるようになることがあるのです。
手や上半身が火照る人は、下腹部が冷えている可能性大
足は冷えるのに手は温かい場合、下腹部が冷えていることが多いものです。女性には毎月の生理があるので、下腹部が冷えていると、血の滞りである「瘀血」(血液ドロドロ)が作られやすくなります。瘀血があると身体の中で冷える部位と熱くなる部位が生じやすくなります。いわゆる「冷えのぼせ」状態。婦人科系の疾患にも罹りやすくなります。
血液が粘つく更年期の頃になると、冷えのぼせが進行し、下腹部より下半身が氷のように冷えたり、上半身が熱くてポッポしたりします。下腹の冷えは自覚に乏しいため、上半身の火照りだけ感じる人も多い。
冷えが進行すると、手足がひどく火照るようになることも
若い頃からの冷え性が進行していくと、「冷え」の一方で「火照り」を感じるようになります。加齢による血液の粘つきと潤いの減少で、身体は乾いてくるようになるため、冷えと熱が極端に現れるようになります。手足がほてったり、また冬をひどく寒がり、夏になるととても暑がりになったります。「ほてり」の一方でひどい「冷え」を感じるようになり、自律神経が乱れやすいタイプともいえます。
冷えと火照りの改善に漢方を
強い冷えや火照りには、原因となっている瘀血(血液ドロドロ)を改善し、身体に血や潤いを補っていくと症状が緩和されるようになります。漢方薬には、このような瘀血を改善したり、血液や体液を補ってくれるさまざまな生薬があります。
特に煎じ薬は、粉薬や錠剤に比べて効果も高く、しつこい冷え性にも対応することができます。
また、漢方生薬の中には、保険適用ではないものの、長期に飲めて、更に継続することで身体のバランスを整えてくれるものがあります。
吉兆堂薬局のお客様の症例
下半身が温まり、スッキリしない身体が軽くなってきました
冷え性がお悩みのIさま。冷え取りの漢方茶で始められましたが、途中から下半身の冷えがとても気になるとのことで、煎じ薬も併用されました。半年ほどで下半身の冷えがかなり改善し、それに伴い身体が軽く体調もよくなってきました。予算のこともあり、その後は漢方茶のみで継続されています。
何をやっても温まらなかった下腹の冷えが改善
40代女性のK様は、若いころから「冷えのぼせ」があり、下半身の冷えが強く下腹は氷のように冷えるとのこと。赤ら顔で陽気ですが、むくみ、めまいなどの不調で悩んでおられました。
下腹の冷えをしっかり改善していくため、煎じ薬を継続していただきました。のみ始めて間もなく身体が楽に元気に動けるようになられたとのこと。半年後にはめまいが治まり、むくみも軽減。しつこい下腹の冷えを改善するために継続されています。
極端な冷えのぼせが、下腹を温める漢方で改善
「身体はガクガク冷えるのに、頭は火照ってどうにかなりそう。」と相談された60台女性のMさま。身体の中で冷えと火照りが極端に現れており、最初は穏やかタイプの潤いを与える漢方薬をしばらく続けていただきました。3ヶ月後、改善の効果が弱いため、下腹を温める煎じ薬に粉薬を1包プラスして1ヶ月間継続。そうしたところ、一時とても元気になるなど、明らかな変化がでてきました。その後、良くなったり戻ったりを繰り返しながら体調は上向き方向に。安定するまでもう少しです。
文責・監修:漢方薬剤師 大林多津子